シナリオライターを志す甲斐人は、ゲーム開発会社の邦男から東京行きの誘いを受ける。しかし、甲斐人には地元のグループとのしがらみがあり、引っ込み思案の彼は地元の引き留める声を無視できない。邦男という異分子の乱入を受けて、甲斐人の環境は揺れに揺れ……

舞台は地球を離れて新天地を目指す宇宙船『フジヤマ』。働く必要のない船内の娯楽の一つである創作文芸は『ビーツ』と呼ばれる既存の断片をつなぎ合わせるだけのものになっていた。それを受け入れられないミチナガに、ミストは紙でできた本を作って売る計画を持ちかける。

ライトノベル作家を夢見る誠は、プロ作家となった元恋人・まゆりが講師を務める文章教室に通い始める。夢を見てばかりで行動が伴わない誠は、夢を叶えたまゆりや、就職して堅実に生きる元同級生に対して心が荒れるばかり。そこで出会ったのが風俗嬢の由愛だった。誠の全てを肯定する由愛と出会ったことは、夢を見るばかりであった誠を大きく変えることになった。

親友の綾ちゃんと隆が別れた!?　そんなことあるはずない！美都は親友の綾の為に、その原因を調べようと思いたつ。そんな彼女に協力を申し出てきたのはクラスメイトの桐生大介。彼は綾と隆だけではなく、最近校内で破局を迎える恋人たちが増えていることを美都に告げるが……？

豆雄はプロ作家を志す３５歳のアルバイター。ある日恋人の華子と西プリン神社にお参りに行く。その帰りに著作権的に危ない殺人現場を見かけたところから物語は始まる。成り行き任せ、反復表現も使ってみたスラップスティックコメディ！

私に友達ができない理由として、母は、一貫して「呪われた子供だから」と主張し続けてきました。でも、私にも友人と呼べる人が、かつてはいたのです。長続きはしなかったけれど。

カン、カン。足音がやけに響く。段。階段。螺旋階段。左手には壁。つまりは時計まわり。きっと北半球だ。南半球は反時計回り。「反時計」とはなんなのだろう、と上りながら考える。時間の否定？　実存主義？　……まぁ実存主義が一体なんなのかわかってないけれど。カン、カンとまた上る。頂上に何があるのかは知らずに、誰にも知らされずに。

夏のある日。大阪、阿倍野の交差点で一人の老婆が倒れた。遺留品は大量の水入りペットボトルと、新興宗教の経典。死因はいわゆる「水中毒」。所轄の恵美須署刑事課強行犯係は、教団による業務上過失致死の立件を視野にいれ捜査を開始するが、その過程で彼女と義理の娘の間に横たわる確執を見出す。

段ボールで顔を隠した被り物アイドル「ベルル」。実力十分のヒミコ、生意気だが魅力のある紗江子、鹿ママの３人と１匹で結成されたローカルアイドルグループ『鈴なりディアーＶ』。「ベルル」の正体である若葉はグループのマネージャー・長峰に淡い想いを寄せるが、元々東京でアイドル活動に関わっていた長峰は東京のトップアイドルと訳アリなようで……？

出来の良い姉を持った大和は、心の病を患い、無職の時を過ごしていた。しかし、姉・香織の心配混じりの発破・叱責についに自殺を図ってしまう。目が覚めたとき、大和は母から、父の最後の言葉を聞かされて……

滝沢雅人はとある女の子と同棲している。彼女の名は美星、なんと宇宙人である。今でこそ生活は安定しているが、彼女との生活にはいろいろなことがあった。困ったこともあったけれど、愛し合うようになったことが一番の出来事。

ミツキ、サチコ、レイは高校時代からの友達だった。しかし、サチコと、レイはあるきっかけから距離を置いていた。しかし一週間前にレイが亡くなってしまう。ミツキは、距離を置かれたまま、親友に去られ、心穏やかでないサチコを話をするため、ミツキはサチコの家を訪ねる……

『ある村に蝋人形館があってね、そこの蝋人形職人がさ、人間を蝋人形に変える魔術を編み出したんだって。それで、その職人自身も色男だったらしくて、自分に言い寄ってくる村娘を次々と蝋人形に変えちゃったらしいよ。六人ぐらい』
白灯村に伝わる「蝋人形魔術師」の伝説。それは三十年前に実際に起こった連続失踪事件だった。青山千鶴にとって、好奇心の対象でしかなかった事件。だが、この事件は意外に身近にあったもので……
この謎は村人たちの心を縛る呪縛。解くべきか解かぬべきか。好奇心を超えた決意を持って彼は謎解きに乗り出した。

光司・志穂夫妻の目下の悩みの種は、義母だった。頼みもしない差し入れを、危なっかしい足取りで「コロコロ」に載せてやってくるたび、心労が尽きない。今年の正月も、おせちを抱えてやってくるらしく、道中を心配していたら、なんと今年は義姉に、ギャンブル好きの義姉の彼氏までやってくるという……

圭子は若い。だから男の子も好きになる。でもこの世はままならないもので、好きになった人はみんな死んでしまう。なんたる運命のいたずらだろう。運命というやつは常にいたずら小僧だから神様も困ってる。

親友に連れられて行ったたこ焼き屋『たこぼうず』はイケメンの三兄弟が経営するたこ焼き屋。とある誤解と事故により、千尋はその代わりにたこ焼き屋の手伝いをすることに！
一方、学校では『スカートの裾を三センチだけ短くして、彼に気づいてもらったら、恋愛は成就する。気付かれなければ女の子は死亡する』という物騒なおまじないが流行っていた。そのおまじないはどうやら『たこぼうず』も無関係ではないようで……？

紙の料理というものが開発された。料理番組の主要な審査員をやっている真人にも番組内で紙の料理を推すよう、業者の男に頼まれるが、本物にこそ価値がある、という信念を持つ真人はそれを断ってしまう。
そんな折、真人の最愛の妻・さなえが倒れ、まともな料理が食べられなくなってしまう。余命わずかな妻が願うのは再び味わうこと。――それが可能なのは紙の料理だけだった。

「好きです！　私と付き合ってください！」
好きだった裕人と付き合うことになった、仁村藍子。これからの学校生活が幸せいっぱいになるはずだったのに……。なぜか裕人は、意識した人を３メートル５０センチ以内に近づけない、“実体化するパーソナルスペース”の持ち主だった！
近づけない恋人同士。だけどめげずに藍子は宣言する。
裕人君の体質を治すために……戦うね」
こうして藍子の戦いは始まった……！

人類が火星に居住する時代。軍事集団から地球のロータス政府の保安課へと転職するため、シンヤはアンドロイド・ジュノを伴って移動中だった。宇宙エレベーターで地球で降りる最中、一人の乗客が「頭の中でレイプされる」という事件が起こった。シンヤは地球に着くまで犯人を捕まえるべく、ある作戦を提案する。（Ｃａｓｅ１）
議員の妻が違法なアンドロイドを購入して家出をした。議員はシンヤ達にアンドロイドを回収し議員の妻を取り戻せるよう依頼する。そのアンドロイドの真相、そしてこの倒錯的な議員の妻とアンドロイドの蜜月は衝撃の結末を迎える。（Ｃａｓｅ２）

期待はあまりしていなかったけれど、それでも上手くいかない社会生活に疲れ切った三井楓は、ある日、高校時代のクラスメイトである嬉野風季と再開する。無口な風季が淹れる紅茶を飲んだ楓はなぜか涙を流してしまう。この嬉野風季、過去の文化祭で喧嘩沙汰を起こしてクラスの喫茶店をさぼった上に停学処分を受けたという不良学生だったはずなのだが……？

ネットで話をしてきた人と、初対面。慣れない土地。湧いてくる不安、その不安は形になってリープを覆い始めた。そこにやってきたのは一人の女子高校生の格好をした女の子。彼女は「ハジメちゃんハンター」であると名乗り……
リープと想の対談の裏で何が起きていたのか？　「ハジメちゃん」とは何者なのか？　初対面の恐ろしさがリープを襲う！
「この物語はリープと想詩拓さんが初対面した時のお話であるが、若干のＳＦ（少し不思議）が含まれている事をご了承ください。」

南海トラフ巨大地震の被害が懸念されるS県に配属された水上聡は、地震への憂いを取り除くため、防災準備に熱心だった。そこへ憂慮したとおりの大地震に見舞われる。バラバラになった水上家が、大災害の中、目の当たりにした情景とは……？

剣術で好敵手である木ノ下柳之丞と石神鉄心は、とある日に藩が二人の内勝った方を藩士として召し抱えようと真剣勝負をさせる。勝った鉄心は藩士となり、敗れた柳之丞は右足の自由を失い、剣の道が閉ざされ、働き口のない者達が集められる[無宿者町]へと落ちていく。そこで柳之丞が見たのは、生きるためだけに生きる無気力な人間たちの醜さだった。

舞台は月面開発のための月上都市《かぐや》。バイオ工学の研究を買われて月へとやってきた宇崎カンナとウォーカー乗りの柏木タクヤは、都市外で調査中に正体不明の軍用ウォーカーに攻撃される。連絡手段も乗り物も失い、彼らを狙う敵もいるという絶望的な状況で彼らは――？

資源価値の有る小惑星を採集し売りさばく「星喰らい」のキムは、長年の相棒ラバが政府の役人から拾って来た儲け話を耳にする。極めて高価だが誰も捕獲に至っていない幻の小惑星「ブラック・ウィドゥ」それをキャッチ出来るチャンスが有ると言うのだ。
その衛星は大企業ＳＭＧＣの管轄内であることを知りながらもキム達は、「ブラック・ウイドゥ」の情報に根拠があることを確認するといざ星喰いへと乗り出した。

昔々、大金への野望の高い商人の娘に懸想をした一人の百姓がいた。やがて百姓は娘の野心のために利用され、非業の死を遂げる。だが、それでも娘を諦めきれない百姓は妖怪“追い掛け狸”となり、再び娘の前に姿を現すのだった。
そして、現代。とある街灯の切れた路地の下、女子大生・真理江の前に現れたのは一匹の化け狸の姿だった。その狸の正体とは……？

豆雄はプロ作家を志すアルバイター。いつまでたってもアルバイターから抜けようとしない夫に愛想を尽かした妻に家を追い出され、ホームレスとなる。警察につかまったり、たけしが自殺の末に神パワーを使えるようになったり、河童が出てきたりする話。

資産家の根亀カケルは、金持ちの道楽に泡沫候補でもやってみようと選挙戦に乗り出した。ところが、持ち出したコンタクト廃止、メガネ礼賛の政策が思いのほかウケて、首相まで上り詰めてしまう。眼鏡に日本中が狂った、知られざる『めがね内閣』のお話。

隣国、神聖王国連合と五度にも渡る戦争を繰り返してきたアキツ諸侯連邦帝国。外出休暇の日、都で友人とお茶をしていたキビ・アヤナは、国内で発言力のある父親、キビ・ヤスナリの暗殺計画を知ってしまう。しかし、そこで一味に見つかり追われる羽目に。絶体絶命の時、出会ったのは予科士官学校の生徒で結成された「屋根裏の騎士団」だった。

バスケ部で目の出ないセンターの三木幹彦は、合コンで池西凛と出会う。その日のうちに彼女に誘惑され、三木は初体験を遂げることになる。しかし、池西は複数のセックスフレンドを持つ、いわゆるヤリマン女子だった。
貞操観念の固い三木は、いったんは池西を拒絶するが、その後、何度かの交流で、池西がただの股のユルい女ではないことを知って惹かれていくが……？

要らないものはすぐ処分する断捨離嫁が、何故か大事にしている、壊れて音の出なくなったおもちゃのピアノ。
使わないものはキッパリ捨ててしまう嫁は、なぜかそのピアノだけ捨てようとしないのが長年謎だったが、ある日俺はついに、その謎を説くきっかけを得た。 なぜ、嫁はその壊れたピアノを大事にしているのか？　それを知ったとき、俺は……

舞台は魔法が存在する大阪。恋人・菜々美が失踪し、それが魔法由来の事件であるとあたりを付けた小塚真也が頼ったのは大阪一の魔女と名乗る金に汚い少女・武本慧。法外な依頼金で計約した二人は徳島に、ヤクザの屋敷にと足を運び、事の真相を突き詰めていく――

俺は人よりはるかにうまくやってる。友達だってたくさんいるし、イケメンではないものの、女性経験も豊かなほうだ。かたや梨元理子は　就職間近になって、友達がおらず、社会人生活に不安を感じる目立たない女だった。
だが、「さかさま理論」という変わった考え方をもつ彼女は、指摘してきたんだ。俺は誰といようが、一人のときとまるで変わらない、と。
だから、俺はちょっとずつ彼女に興味を持つようになって来た矢先に、別れの時はやってきた。そのとき彼女が俺に投げた言葉は……